かえりみち
仕事帰りの疲れた電車内
私の中でなんとなく漂うやりきった感が眠さを助長している
暖かい赤みがかった黄色いぬくもりがある。
あったかいお茶を飲んでたこともあるのかもしれないけど。
黄色いぬくもりがあるせいで、すこしの冷たい小石のような、さみしさを余計に感じる。
全て私が選んで決めて行動していることだけれど。
もうどうしようもないけれど。
全員に分かってもらって送り出してもらおうとすること自体、甘えだと思う。
私の自分勝手な決断のおかげで、迷惑をかけることは絶対的なものであるし。
これからくる、わたしの不在の影響は、存在してしまう。
いくら理由があっての不在予定でも、いくらそれほど重要な位置にいないひとの不在予定でも、それでも、不在は不在。
存在していた人が消えるということは、そこの場所が何もなくなるということで。
些細なことでもわたしがしていたことが、誰かの重荷になるわけで。
考えていると自分の決断で自分の首をきつくきつく、締められている感覚がする息が吸えない体の中から濃い灰色のドロドロしたものが喉元まで溢れて呼吸を止めにかかってくる
電車が止まってドアが開いた。
秋の虫の音が外から耳に入る。
涼やかとしかいいようがない、素敵な音。
それでも決断をして、そうした方がいいと言ってくれる人がいたこと、そうしないと、大事な者が失われるかもしれない、という想いもあったことを思い出す。
すうーと息を押し出す。
すうーと息を吸い込む。
決めて動いている限り、あとは未来で私の未来の周りの人がみんな、笑顔を浮かべることができるようにするしかないと、一人ごちる。
未来の周囲の人みんなが黄色いあったかいぬくもりで満たされるように。
この気持ちが、自分を正当化する理由ではないことを、誰か証明してください。