よるだった。ひとりの。
ひとりぼっちの夜だった。
明け方、物音で目が覚めて、リビングにいった。
暗いリビングだった。
電気をつけたけど夜だった。
時計を見たから明け方だとわかった。
わたしはお布団の中だったから冷え冷えした空気も平気で、冬の凜とした冷たさを吸い込んでた。
彼は寒そうだった。
帰ってきててた。
ごめんね、とひとこと。
ぎゅってくっついたら、体温があまりなくて、お酒とタバコの匂いがした。
今は横でいつもみたいに寝てる。
手先足先もあったまってる。
誰かと寝ること、家の中でひとりきりじゃなくて眠ることしか、経験したことなかった。
姿は見えなくても、どこかの部屋で親や兄弟、の、寝息が息づいてるのを、感じることができた。
誰もいない時は、犬をそっと私の部屋に持ってきて、眠る。
ぷーぷーすーすー犬の寝息のような、寝言?寝鳴き?のような音を聞きながら、いつしか私も眠りの中に引きずり込まれる。
そんなふうだったから、部屋の中のどこからも、何も息づかいがないのは、とくとくした。
涙腺がゆるまってるせいで、べそをかいた。
ぐずぐず、やってるうちに、眠ったけど。
お腹の中のぽこぽこが、今までで一番頼もしかった。