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結局、わたしの母と同じような人を選んでしまったのだろうか。
曇天を見ながらぼんやり考える。
人に当たらない、ものを物凄く壊さないだけ、まだましか……。
暴力的な言葉は、こっちの方がひどいのかもしれない。
殺したくなるとか。
でも、破壊的な言葉を暴発させればさせるほど、あんまり、怖くなかった。
黙ってイライラする姿を見るよりよっぽどましだった。
自分で自分を制御できなくなっていて、壁を殴ったり物投げたり。
その様子を見ればみるほど、落ちついた。
ほんとに殺しにかかってきたら、息子くんのためには生きてた方がいいよなあ、とか。
離婚したらわたしは生活費を稼げないから、息子くんと離れ離れなのかなあ、とか。
そしたら向こうのおかあさんに取られてしまうんだなあ、わたしはまさしく産む機械だっただけになってしまうなあ、彼にとってはもう、わたしは用済みなんだな、だって殺したくなるくらいなのだから、とか。
わたしは、いま、何なんだろう。
どうしてここにいるんだろう。
彼にとって、どんな存在なんだろう。
怒りが頂点に達していれば、殺したくなるという言葉は、愛してる人に対しても出てくる言葉なのだろうか。