これだから理系は
海外旅行に大学生のころ散々行った。
全部、自分で稼いだお金で行ったから、誰にも文句を言わせなかったし、誰も文句を言ってこなかった。
ツアーだったけれど、それでも、全然良かった。
スペイン、イタリア、デンマーク、チェコ、カナダ、ドイツ、フランス、オーストリア、台湾、中国、などなど。
今のうちしか自由な時間がないから、絶対に社会人になる前に行きたくて、たくさん行った……のはいいのだけれど、行きたかったけれど行けなかったところが、まだたくさんある。
そのうちの一つに、ウユニ塩湖がある。
一度はネットで見かけたことがあろう。あの素晴らしい湖。写真を撮れば空と水面が鏡写しになり、異世界のような、天国のような、非常に清らかな絶景が広がっているところだ。
行きたかったなあ、またいつか行けるかもしれないけれど、いつだろうなあ。ひとまず子育てが終わってからだから少なくともあと20年後、30年後だろうなあ……。
普段は息子の世話に追われてそんなこと思い出しもしないのだけれど、この記事を見て、急にウユニ塩湖が頭の中で主張し始めた。
なんと!!!!!!!!!
日本に!!!!!! ウユニ塩湖が!!!!!!
これはもう、行くしかあるまい。それもなるべく早く行くしかあるまい。
お腹が大きくなりすぎたら無理だし、二人目臨月入ったらもう無理、二人目生まれちゃったら余計無理!
そう思って、今朝、朝が極端に弱い旦那さん(何とか二階のベッドから下へ降りてきてだけどまだ立っていられなくて、コーヒーメーカーで入れてあげてあったアイスコーヒーを一口飲んでそのままソファになだれ込んで沈殿してた)に記事を見せた。
私「みてみて!」
旦「……む」
私「みて、ほら、ウユニ塩湖みたいに、綺麗なとこが、こんな近くにあるんだよ。行きたいねえ。ほら」
旦「……」(ちらっと私のiPhoneを見る)
私「ね? そんな遠くないし、綺麗だろうなあ」
旦「でも干潟だよそれ」
私「は」
旦「木更津でしょ知ってるよ。でもそれは所詮、塩湖じゃなくて干潟なんだよ」
私「……」
旦「僕はむしろその写真を撮った人の技術がすごいと思うよ。干潟だから波風とか水面がゆれてそんな写真なかなか撮れないだろうに。それを空が綺麗に映る瞬間を見逃さずにしかも空を綺麗に反射させている角度でシャッターを押せたんだからすごいとは思う。でも、それは干潟だ。わざわざ干潟を見に行くの?」
私「で、でも、こんなに綺麗に……!」
旦「実際、目で見たらこんな綺麗な状態が続いてるのはありえないよ。だってただの干潟だもん」
私「でも」
旦「ムツゴロウとかいるんだよ干潟って」
私「……」
ムツゴロウじゃないそんな話をしたかったんじゃない。
だから理系はいやなのだ。